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「司法試験」ぼちぼちでんな日記

2004.9.17

「オランダ刑事司法~翻訳への道~第7回」

<公判段階>

Cross-examination, however, is unknown under Dutch law.
(「The Dutch criminal justice system」 61ページ)

対訳

交互尋問(反対尋問)は行われていない。
(「オランダ刑事司法入門」 91ページ)

反対尋問が行われていない状況は、
次のような事情に関連するものと思われる。

1 終局判決の基礎となっている多くの証拠は、
  公判が開始される時点で、すでに種々の調書として記録されており、
  これらは、公判前に、裁判官や検察官には周知の一件記録にファイルされている。

  また、これらの記録のコピーは、被告人と弁護人に利用可能なものとされている。

2 公判における裁判官、検察官、被告人と弁護人の関心は、
  訴訟記録の中の各調書の内容が中心となっている。

そして、注目すべきは、

3 予審判事、弁護人および保護観察員との間の緊密な協力関係でもって、
  被告人に社会的援助を与えることができるなど、予審段階が、
  ある程度信頼に値するものであるという一般的な確信があること。
                               (「オランダ刑事司法入門」 92ページ)

オランダ社会に根付いている「信頼関係」が
対立ではない協働をもたらしているのだろうか。(完)
by mondening | 2004-09-18 00:17 | オランダ
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